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November 06, 2009

初野晴「初恋ソムリエ」感想

 難病でプロの音楽家の道をあきらめた天才少女と主人公の友情、そして天才少女の手ほどきを受けてめでたくコンクールに参加。あれ? どっかで読んだことのあるストーリー。あ、今年の中学生読書感想文コンクール課題図書「8分音符の・・・」じゃん。と思ったけど、途中から全然違う展開でした。そもそもジャンル的にはミステリーですし。「筋金入りのアンチ吹奏楽部だ。」以下のセリフが、実にリアリティたっぷりで、「8分音符の・・・」が、いかにご都合主義的な展開の作品であるかがわかってしまいます。そういうわけで、「8分音符の・・・」ファンは読まないほうがよいかも知れません。現実って残酷です。

 本書は高校の吹奏楽部のお話なんですが、途中で出てくる勉強方法のアドバイスは、なかなか的を射ています。

「大学受験の勉強の8割くらいは学校から配布される教科書を読むだけで充分だ。自己管理ができていないひとたちだけがスポーツジムに通うのと同じことで、自分で勉強できないひとたちが塾にいくんだよ。チカちゃんは授業の黒板を写すことで満足しているからダメなんだ、ちゃんと教科書を読まないからできないんだ。1時間程度の予習と復習を毎日するだけでいい。そのかわり、一日も休んではいけないよ」

 全国の受験生のみなさん、いかがなものでしょうか?

 文章はライトノベルっぽいです。会話が生き生きとしているのはいいんですが、時々「あれ、これ誰のセリフ?」的な部分があります。いやそこはまあ、雰囲気でなんとなくわかるでしょ的な・・・。まあ、わかりますけど。

 第2話が秀逸。地学研の部長のキャラが素晴らしすぎるし、FM放送で人生相談に応じるじいちゃんたちが、素敵すぎる。泣きました。

 こんなに面白いのに、表紙の装丁で随分損をしているように思います。ラブレターを後ろ手に持って立つ女子高生の後ろ姿の写真という、ぱっと見なんだか、普通のケータイ小説っぽいです。タイトルの「初恋ソムリエ」っていうのもちょっと・・・。ああ、中身はいいのになあ。

 「退出ゲーム」の続編ということだそうで、それらしいセリフが作中に出てきます。「去年の1年間、死にかけた吹奏楽部はあなたを中心にまわっていたわ (中略) 体育館のステージで、演劇部と対決していたし (中略) 発明部と一緒に怪しいことをしていたし」ああっ、こりゃ1作目も読むしかないなと思ったり。

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