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October 24, 2009

寄藤文平「元素生活」感想

 イラストレーターの寄藤さん、今度は元素で一冊描きました。

 元素というと「スイヘイリーベボクノフネ」で憶えさせられた、例の118ある元素周期表が頭に思い浮かぶ人も多いと思います。本書はあれを、118人のさまざまな姿形の人型キャラクターで表現。元素を14の性質に分ける際、見た目でわかりやすくするため、髪型を14用意してあったり、原子量を体重(ガリとデブ)で表現してあったり、見た目で元素の性格がわかるように様々な工夫が施されています。自分のよく知っている元素が、どんなキャラで表現されているか、それを見るだけでも楽める一冊です。

 さらに、一つ一つの元素が、今どんな分野で活躍しているか、簡単なコメントが載せられています。へえ、この元素はこんな分野で重宝されているのかと、新鮮な驚きがあります。ただ、元素番号が100番超えるあたりからは、天然には存在しないためか、コメントもどんどん少なくなり、112番の「ウンウンビウム」以後の「ウンウン」シリーズはコメントすらありません。名前は怪しさ大爆発なんだけど、一体どんな元素なんだ(笑)? 知りたい!

 最後の方で、レアメタルの獲得が今後の日本の産業の命運を握っているという、最近よく話題になっている話が出てきます。中国大陸でしか採掘できないレアメタルがかなりあり、しかもそれがないと、日本お得意のハイテク産業が成り立たないらしいです。ケータイ(レアメタルをたっぷり含む)のリサイクルも本腰入れねばならない時代が目前まで来ているのかも。

 

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October 17, 2009

「yomyom」2009年10月号感想

 久々に小野不由美の十二国記新作を読みました。今回も「yomyom」で。

 タイトルは「落照の獄」 死刑廃止、是か非か論を十二国記の舞台、しかも国が傾きつつある柳でやってみました。という感じ。暗い。ひたすら暗い話です。私は、凶悪犯罪者の矯正なんて、犯罪者本人の記憶を書き換えない限り(あるいは「十二国記」のように、たまたま楽俊と出会っちゃいました~みたいな奇跡がない限り)誰にもできっこないと思っているので、ラストなんか、何をいまさらという感じです。そもそも人が人を裁くことの是非は、似たようなテーマの小説やら映画やら、ここ2~3年で結構たくさん出てますので、今さら無理に十二国記の舞台を使って書く必要もないと思うのですが。どなたか近しい方が、何か事件に巻き込まれるとか、あったんでしょうか?

 森見登美彦「この文章を読んでも富士山に登りたくなりません」
 同じく雑誌「yomyom」収録のエッセイ。富士登山は未経験です。登った人の話を聞くと「ただ同じような斜面をひたすら登るだけで、登って面白い山じゃあないよ。特に美しい景色が楽しめるというわけでもないしね。そりゃあ高いところに登るんだから、下界を見下ろす時の気分は格別だけど、それはどの山でも同じだし」なるほど、そんなもんですか。

 本書では富士登山をすることによって、まだ登っていない人に「え? まだ登ってないの? 日本人なのに?」と意地悪できる! みたいな書き方なので、読んでいて実に力が抜けます。登山そのものよりも、頂上で食べた800円のカップラーメンがうまかったとか、下山してから食べたかき氷が体にしみわたったとか、御殿場で温泉に入ってホッとしたとか、まあ別に富士登山じゃなくても書けそうなことばかり(笑)。

 実際山頂に立った時の気分は「感無量なのかどうなのか、自分の気持ちもよくわからない」と、森見さんもそう書いています。まさしくタイトルに偽りなし!  それに酸素薄いの、私は超苦手ですし。

 ところが、これを読んだ妻はなぜか「富士山登りたい」・・・え? なんで?「だって、これって露骨に富士山登ったこと自慢してるじゃない」なるほど、そっちですか。山岳部の息子までもが「うん、登りたいな」まあ、山岳部なら一度は・・・ですか?

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October 10, 2009

映画「おくりびと」感想

 テレビで早くも放映されたので、ありがたく拝見しました。実にまっとうな映画でした。

 前半で、知人にせっかくもらったタコを、くねくね生きてるからという理由で川に逃がしてしまうシーンがあります。でも、逃がした時にはタコはもう死んでいた。ぷかぷかと川に浮かぶタコの死骸。どうせ死ぬのなら、ちゃんと食べて、自分の栄養として、生の糧として、役立ててあげれば、まだよかったかもしれない。これは後半の、フグの白子のエピソードで生きてきます。生命そのものを食べる行為が、「うまいんだよなあ。困ったことに。」というセリフにつながっているのですね。

 露骨な職業差別は結構見ていてへこみました。奥さん(広末涼子)の「さわらないで、穢れる」とか「子どもに、ちゃんと自分の仕事を言える?」とか、走り屋の高校生のせいで事故死した娘の親族が、葬儀に来たヤンキー高校生に向かって「一生あの人(本木君を指さして)みたいな仕事してつぐなうか?」「すみませんでした」とか、そうか、そんなにみんな、心の底からこの仕事を蔑視してるのかって、思い知らされるようにドラマは進行します。そういう風にこの映画は作ってあるわけです。

 「そんなに死体に触った手はいやか? そんなに死は恐ろしいか? 忌み嫌うものなのか? 穢れは移るものなのか? でも、自分の肉親の死体なら別なのかよ? 肉親の死体ならさわってもOKだけど、他人の死体はダメ? それって、かなり自己中心的な考え方のような気がするんですけど。それともそう思う私のほうがおかしいんでしょうかね? 納棺師って、普通にいい仕事じゃん。死者をすごく大切にする姿勢とかさ。」

 映画は、見ている者が上記のように思ってしまうように、ドラマを展開させていきます。で、奥さんも実際にその目でダンナの仕事ぶり、心の籠もった対応ぶりを見て、考え直したりします。このあたり、わかっちゃいるけど、いい展開です。

 ところで、納棺師って、いつから生まれた職業なんでしょうか? 今はこういうスタイルがスタンダードなんでしょうか? 私の祖母が亡くなった時は、私の母や叔母達が、みんなで湯灌して、化粧を施してから納棺してましたが。・・・本来は親族がする事のような気がします。

 それはさておき、本木君、こういう所作の美しさが必要な役、まさにはまり役ですね。本当に美しかったです。

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October 04, 2009

DVD「フィッシュストーリー」感想

 伊坂幸太郎原作ですが、未読です。まったく時代も場所も違う4つのストーリーが、ラストで一つに収斂していく、伊坂さんお得意のパターンでした。結末からストーリーを作っていくんでしょうかね。でも伊坂さん、このパターンは別のお話でもっと効果的なのがあったような気がします(ラッシュライフ)。

 レコード屋に来ているお客の兄ちゃん、実に煮え切らない性格に設定されてますが、原作もこんな半端な役だったんでしょうか? 地球最後の日に、レコード屋でぷらぷらしてるにしては、感情の起伏が激しすぎるし、生への執着が、ありすぎなんですけど。

 ボーカル役高良健吾君の歌は抜群によかったです。それに「これは誰かに届くのかな? なあ、誰か聞いてんのかよ。今このレコード聞いてるやつ教えてくれよ。届いてんのかよ。これ、すっげえいい曲なのに、誰にも届かねえのかよ。ウソだろ。この曲は誰に届くんだよ。」はしみじみよかった。まるでニューアルバム「⊿」出す直前の、perfumeのあーちゃんの心境みたいです(音楽雑誌「ROCKIN’ON JAPAN」のインタビューをご参照ください)。

 「僕の孤独が、魚だったら、巨大さとどう猛さに、鯨でさえ逃げ出す」の歌詞もおもしろい比喩です。意味ないとか言ってるけど、なんだか村上春樹の翻訳っぽいテイストがあるところがいいです。

 多部美華子が、やはりよかったです。「私こんなところにいるの場違いなんですけど」みたいな表情で、よたよた宇宙船に乗り込むところとか、ラスト寝ぼけ顔で「すいません」とかが、実にキュート。

 森山君、頼むからサービス業らしく、髪をもっとすっきりさせてください。

 濱田君の「立ち向かえよ。なんで帰れって言われて、帰ってんだよ」には大笑い。こういう役、ドンピシャではまりますね。

 あと、予言する晴子役は、バイオリニストの宮本笑里に似た、目の大きな美人さん。高橋真唯さんですか。憶えとこう。

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