DVD「デトロイト・メタル・シティ」感想
自分が歌いたい音楽と、世間に受け入れられる、いわゆる売れる音楽とは違う。世の中の、売れるようになったバンドの相当数が、この現実を受け入れて、歌いたい音楽ではなく、売れる音楽をリリースしてきたのではないかと思う。
それまでずっと、とんがった曲調の、売れそうにない曲ばかりリリースしていたバンドが、ある時たまたまキャッチーなメロディーの曲を作ってしまい、それが売れてしまう、そんな時がある。「そうか、こういう曲を出せば売れるのか。」それに気がつき、バンドの方向性をそちらへ修正した、そうやって売れるようになったバンドを今までに沢山見てきた。軌道修正に気がつかなかったバンド、あるいは、そういう音楽はやりたくないと初志を貫いたバンドは、そのほとんどが、いわゆる一発屋で終わってしまった。
一例として、バンドではないが、テクノポップユニットとして成功したPerfumeを引き合いに出そう。それまでアイドル路線ではまったく売れなかったグループが、「ポリリズム」でやっと売れ始めた、そんな時期の、あるTV番組でのインタビューである。
かしゆか「最初はテクノっていう音楽自体、聞いたことがなかったので」
あーちゃん「なんでこんな曲調なんだろうって思ってたんですけど」
のっち「感情をもっと前に出したいのよ、熱唱したいのよ、みたいな」
あーちゃん「高校生になったら、やっとテクノのよさがわかってきて・・・」
本作も、主人公が本当にやりたい音楽は、ふにゃふにゃした毒にも薬にもならないようなポップミュージック(失礼)である。たぶんこの曲をよいと感じる人は、世間ではものすごく少数派であろう。マーケットとしてはとても小さく、商売としては成り立たないと思われる。路上で演奏する彼の曲をちゃんと聞いてくれるのは、犬だけである。その犬でさえも、途中で主人公を見放してしまうくらいだ。そんな主人公に、レコード会社の社長が歌うよう命じたのは、ヘビメタ(デスメタルバンド)であった。ところがこれが、主人公の本来持っていた才能を開花させ、伝説的なメタルバンドになってしまう。社長は彼が持っている隠れた才能に気がついていたのだ。
本人は「僕がやりたいのは、こんな音楽じゃないのに」といいつつ、仕事をそれなりに一生懸命こなしていく。
もとが劇画らしいので、ストーリーの展開は漫画チックで、ありえないシーンが次々出てくる。だが、どのシーンにも熱いエネルギーが感じられ、そのため細かいところはあまり気にならず、最後まで一気に見ることができる。この映画のために作られた曲も、いずれも熱い魂の名曲ばかりである。
一部(というか、かなり)教育的ではないシーンがあるので、そういうのに目くじら立てるタイプの人は、決して見てはいけません。


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