湊かなえ「告白」と歌野晶午「絶望ノート」感想
先生の娘を殺したのは一体誰なのか? 一つの事件を、登場人物それぞれの視点から語る、多視点タイプの小説です。
それぞれの人物にはそれぞれの事情があり、誰の判断が正しいのか、読めば読むほどわからなくなる・・・というよくあるパターンなのかと思ったら、違いました。ストーリーは結構二転三転するんですけど、結局はヒロインが復讐を完遂する話なんですね。こういう、自意識の肥大した中学生がごろごろいる時代なら、先生は復讐してもOK! みたいな作品を公に発表して、しかもそれを全国の本屋さんが一押ししちゃっていいんですか?
モンスターペアレントやケータイいじめに日頃手を焼いている学校の先生の一部は、読んでいる内に、知らぬ間に結構拍手喝采するのかもしれませんが(しませんよね)。
歌野晶午「絶望ノート」
いじめられたという狂言ノートがもとで、次々に周囲の人間が人を殺していく話です。「神様、○○を殺してください。」狂言ノートに書かれた中学生の願望と、現実に起きた事件との間に、果たしてつながりはあるのか?
犯罪者の告白話という形をとっている点、語り手が複数いる多視点タイプの小説であるという点、自意識の歪んだ中学生が犯罪を犯すという点など、湊かなえの「告白」と、類似点が多々あります。しかし、後半の展開はまるで違います。おそらく「自分ならあんな話にはしない」と意識して書いたのではないでしょうか。
ヒロインの復讐成功話ではなく、ラスト自業自得なところが、歌野流と言えるでしょう。皮肉がたっぷりきいています。


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