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2009/06/14

有川浩「三匹のおっさん」感想

 図書館シリーズ大ヒットの有川浩が、今回はなんとメインキャストに還暦を迎えたじいさん三人組を据えました。しかも町内限定正義の味方として、自らを「三匹のおっさん」と名乗り、悪を懲らしめ善を勧める。後半に至っては、単なる勧善懲悪ではなく、今の日本が抱える問題の一つ、閉塞した社会にどう風穴を開けるかについての提案があったり。さらにそこに、おっさんたちの娘や孫の恋バナも加わって・・・というてんこ盛りの小説です。
 従って前半は、時代劇並みに三人が次々に悪者をぎゃふんと言わせてくれるものですから爽快痛快。いいぞいいぞと調子に乗ってすいすい読んでいたんです。しかし、後半になるにしたがって、テーマが重く、難しく、当然解決方法も一筋縄ではいかなくなり、読後感もずっしりと重くなってしまうという・・・。これには作者も困ったんじゃないでしょうか? その、重くなりそうなところを、娘と孫の、ほのぼの恋話で柔らかくしてみましたというところでしょうか?

 時代劇の仕置き人や、五色の戦隊ヒーローたちがやっていることは、法的にはこれは私刑(リンチ)にあたります。犯罪者に対し、裁判にかけずに勝手に判決を下し、しかも処刑までしているんですから。その点、本書のおっさんたちは、私刑すれすれのところで、最終判断は公的機関に委ねる形をとっており、さすが還暦を迎えた大人の処置だと思わせます。ただ、おっさんたちのうちの一人が使用している武器が、一部法に触れているような気が・・・いや気のせい(笑)?

 じいさんが(いや、おっさんが)孫に「この中でワシが痛くない組み合わせはどれなんだ?」などとファッション講座を聞くシーンがあります。「無地のTシャツの上にチェックのシャツを羽織れ。裾は必ず出す。チェックとチェックは厳禁。」など基本がきっちり押さえてあり、なかなか実用的です。なにを着ればいいのかわからんというおっさんな方々は、一読されてはいかがでしょう。 

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