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June 21, 2009

中野京子「怖い絵」感想

 素人さんには、ぱっと見ただけではどこが怖いかわからない絵を、歴史的背景やら、当時の美術界では常識であったらしい謎解きやらの解説を施して、読者にその絵の怖さを思い知らせてくれる一冊です。
 最初は有名な、ドガの「踊り子」の絵から始まるんですが、どこが怖いのかさっぱりわかりませんでした。当時のバレエダンサーの社会的地位を知ると、怖さがわかってくるという仕掛け。
 「受胎告知」も、キリスト教徒ではない我々には今ひとつぴんとこないエピソードです。でも、本人の意志などお構いなく、勝手に神の子を宿さなければならない女の立場に立って絵を見なさいという助言に従うと、まったく違った世界が見えてきます。いくら神とはいえ、あまりにご無体な・・・、不条理そのものの絵です。

 こんな風に、全部で20の作品の怖さを解説してくれる美術鑑賞本です。絵も美しいカラー印刷なので、解説読みつつ何度もページをひっくり返して鑑賞しました。ただ、横長の絵は、どうしてもページをまたいだ印刷になるので、綴じ込みの部分の紙面がカーブしてしまい、原画のすごさが十分には鑑賞できないところが玉に瑕。
 また、前半は言われないと怖さがわからない絵が多いのですが、後半になるにつれ、見ただけで怖さのわかる絵ばかりになってしまい、驚きが減っていく感じがしました。ネタ尽きたんですかね?

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