田山朔美「霊降ろし」感想
作家としては新人さんなのでしょうが、巻末のプロフィールでは1966年生まれとなっています。それなりに人生経験積んだ方の作品なんですね。
ヒロインは女子高生。霊媒師のまねごとを、知り合いに無理矢理させられているという設定。最初は言われたとおり、霊が取り憑いた演技をしていたのが、ある日本当に霊が乗り移ったように感じ出します。
こう書くと、なんだ、オカルト関係か? と思うかも知れません。しかし、こういった設定は、本作のテーマを語る上で用意されただけの物にすぎないと言えます。
自分の見たい物だけを見て、それ以外のものは見ようとしないのが人間の本性。霊降ろしを依頼する人たちは、だから、自分たちに都合のよい物語を聞きたがろうとする。それを逆手に取っての偽霊媒師。詐欺行為。であるのに、この少女は、自分自身のそういった姿と真っ向から向き合い、それを自覚し、乗り越えようとする。
ヒロインはどうやって束縛された世界から逃れるのか。自由を手に入れるために何を考え、実行したのか。四角いフェンスに囲まれた学校の屋上で、彼女は力強く、まっとうにこの世界へ関わっていこうとします。読後感は、つんと鼻にくるけれども、とても爽やかです。


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