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2009/06/01

DVD「永遠の子どもたち」感想

 何年か前に、児童虐待をテーマにしたよく似たタイトルの小説がありましたが、本作はそれとは何の関係もありません。そもそもスペイン映画ですし。
 原題は「エル オルファント」直訳すると、孤児院。制作はギレルモ・デル・トロ。前作「パンズ・ラビリンス」では色彩の恐怖に酔いしれましたが、今作は色よりも音が怖い怖い。暗いシーンが多いんです。びびりながら見ました。
 伏線の張り方が絶妙です。
 まずオープニング。子どもたちの手が壁紙を次々にぺりぺり引っぺがすと、その下から監督やらプロデューサーやらオープニングクレジットが現れるという仕掛けになっています。これは一体どういう伏線なのかと思いながら見ていました。映画中盤で気づくと思いますので書きますが、心の奥底に隠していた、思い出したくない過去が、次々に暴かれていく・・・という意味なのですね。

 さて、本作のヒロインであるラウラは37歳。幼少期は孤児院で育てられ、途中で里親がついて、孤児院から出たという経歴が語られます。孤児院には全部で6人の子どもたちがいた。その子たちが、過去にトマスという孤児に過ちを犯したらしい。

 ラウラ本人は気がついていないらしいのですが、どうやら心の奥底に罪の意識があるようです。ラウラは、孤児である自分を育ててくれた恩返しとして、シモンという名の少年を養子とし、さらには孤児院を経営しようと考えます。でも、封印している本当の自分の心、自分では気がつかない深層心理から考えると、これは過去の過ちに対する贖罪なのではないでしょうか。   

 途中でドッペルゲンガーの話が出てきます。もう一人の自分。これはヒロインの心の状態を暗喩しています。

 シモンがピーターパンを読んでからラウラに聞きます。「ウェンディは年をとる?」「そうよ、だからネバーランドには戻れないの」「ママは何歳で死ぬの」「ずっと先よ あなたが大人になってから」「僕はならないよ大人には 友達も」「友達?」「6人いる」「なるわよ」「なれないんだ」怖い伏線です。

 シモンは行方不明になります。犯人は冷静に消去法で考えると自然にわかります(登場人物そんなに多くないですから)。ラストはこの監督らしく、キリスト教的には一見ハッピーエンド、でも実は非常に残酷な終わり方をします。

 人は見たくないものを見ようとしない。この冷たい真理を、ぐさりと観客に突きつけてくる映画です。

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