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2009/03/03

DVD「ルオマの初恋」感想

 原題は「ルオマ的十七歳」つまり「ルオマの十七歳」となります。中国雲南省、ハニ族の美少女がヒロインです。地図で見ると中国南部に位置し、ベトナムと国境が近いようです。
 映像的には棚田の美しさがひたすら印象に残ります。それも田植え前、水を張り水牛で丁寧に耕している時期のものが画面一杯に、様々な角度、様々な時間帯で映されます。水面は鏡のように空を映すので、晴天ならば青に、夕暮れ時であれば橙色に一面が支配されます。棚田と棚田の境界線が絶妙な曲線を描き、人の作ったものでこれほど美しいものがあっただろうかと思うほど。ぜひ大画面で見るべき映像です。
 この美しい棚田をバックに、ヒロインが携帯音楽プレイヤーで聞く曲が、どうやらエンヤであるらしい。計算し尽くされた多重録音とイコライジングにより、徹底して耳あたりいい音に仕上げてあるエンヤの曲は、心を癒すBGMとして、たいへん効果的に使われています。もちろん農業従事者や現地の人が見たら、「勝手に美化するんじゃねえ。現実はこうじゃねえよ。」みたいな反論は出るでしょうが、娯楽作品として見た場合、ため息ものであることは間違いないでしょう。

 次に、ハニ族の風習、伝統文化がたいへん興味深い。二つほど紹介します。

・田植え前に、若い男女のグループが互いに泥玉を投げ合うことで豊作を祈ります。この時、自分の好きな人に泥玉を投げて意思表示する風習がある。
・結婚の前夜、祝いの席で、花嫁は本当に好きだった男と別れの杯を交わす。つまり、経済的な理由などにより、好きなんだけど結婚できなかったというケースが、この地方には(いや昔はどこでもそうかな?)多々あったということでしょう。
 いずれの風習も、映画の中ではストーリーにうまくからめてあって面白いです。

 メインのストーリーはわかりやすいもので、田舎の美少女がカメラマン志望の男と恋に落ち、都会の絵の具に染まりそうになる。という、よくあるパターンです。
ルオマの相手の男、優しいんだけど、地道に仕事をしてお金を稼ぐという事ができない性質の人です。金がないので、家賃は滞納しっぱなし。ルオマから買った焼きトウモロコシの代金が払えず、かわりに携帯音楽プレイヤーを貸し与える。家賃のほうは、つきあっている女に支払ってもらおうとしますが、男の煮え切らない態度に激怒した女から、ついに見放されるという始末。

 そんな男に、ルオマは少しずつ恋してしまいます。
 ルオマの愛らしい表情に、見ている方としては、この恋がうまく行かないで欲しいと強く願わずにはいられません。「こんな男といっしょになっても、絶対幸せにはなれないぞー。さんざん貢がされたあげく、別の若い女が見つかった途端に捨てられるのがオチだぞー」と、心の中で叫びながら見てました。

 男はルオマに、都会のビルでエレベーターに乗せてあげるよと約束します。ルオマはお祖母ちゃんに、行ってもいいでしょ? と聞きます。でも、お祖母ちゃんは何も答えない。翌日家を出て行くのはお祖母ちゃんのほう。

 セリフで多くを語らず、映像で語ろうとする作品です。ネタバレになるので書けませんが、特にラストの演出はよかったと思います。

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