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February 21, 2009

DVD「ミラクル7号」感想

 香港映画です。カンフーなんたらとか、なんたらサッカーとか、大ヒット飛ばした人の監督作品らしいです。

 一見ハリウッド映画っぽいです。ETを最新CG使って香港風に焼き直してみました~、みたいな作品かな? と思いながら見ました。でも違いました。どこが違うか?

1 ET(本作では7号、通称ナナちゃん)は、ちっともすごい能力を発揮しません。断線した扇風機をちょこっと直すだけで体調不良に陥るというテイタラクです。

2 主人公の男の子はちっともいい子じゃありません。テストの点を偽造したり、カンニングしたりと、父親の期待裏切りまくりです。でも結構リアルな設定だと思います。

3 主人公はいじめられっ子ですが、ET(ナナちゃん)がそれを直接救うことはありません。なんと、主人公が自力で解決していきます。このシーンは結構じーんときました。いつも猫型ロボットが助けてくれるせいで、いつまでたっても自立できない○○太・・・みたいにならなくてよかったです。

4 終盤、ET(ナナちゃん)は、かなりすごいことをするんですが、主人公はそれに気づかぬままです。さらに主人公はET(ナナちゃん)が不在であることにへこんだりせず、逆に自らの成長の糧とします。この脚本、私はかなり高評価を与えたいと思います。

 ラストシーンはまあ、おまけですね(笑)。お父さんの恋がうまくいかないのもGOOD!

 

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February 14, 2009

堀江敏幸「未見坂」感想

 2001年芥川賞受賞作家の新作です。

 短編小説集ですが、どれも同じ地方都市を舞台として書かれています。しかもどの登場人物も、離婚や病死などで家族の一員を失った状態である、という設定になっています。

 文体がまず独特です。具体的にはリズム感でしょうか。ちょっとマネできそうもありません。読んだ瞬間に堀江ワールドに引きずり込まれる、そんなリズムがあります。ストーリーもごく当たり前のことばかりで、劇的なドラマが展開するわけではなく、ちょっとした登場人物の変化と、周囲の風景の変化が丁寧に描かれます。そしてそこからはどこか不安な予感だったり、その逆に幸福の予感だったり、あるいは切なさが立ちのぼってきたりするのです。小説のような随筆のような、不思議な感覚です。読後の余韻がすごいのです。

 私の中では、堀江氏は他の作家とはちょっと別格扱いになりつつあります。「雪沼とその周辺」「河岸忘日抄」「めぐらし屋」いずれも印象に残る作品ばかりです。読んで「幸せだなあ」と思う、数少ない作家の一人です。

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February 08, 2009

水森サトリ「星のひと」感想

 2006年に「でかい月だな」で小説すばる新人賞を受賞した水森サトリの新作です。
 前回が「月」で,今回は「星」ときました。じゃあ次回はどうなるのでしょうね。
 主人公は中学3年生の草太君なんですが,語り手は章ごとに入れ替わります。
 例えば第一章の「ルナ」では,草太の同級生はるき(女)が主人公です。クラスの女の子達との息苦しい人間関係がなかなかリアルです。ケータイメールのやりとりやらプチハブやら,読んでいてうんざり。どんどんイヤなヤツになっていく自分を止められない思春期独特の痛さが伝わってきます。
 でもここで読むのをやめてはいけません。第二章「夏空のオリオン」のあたりからどんどん面白くなってきますから。
 第二章は、父親草一郎の結婚と長男草太出産の話。本作の最大の魅力は,主人公草太君のおおらかな性格にあるのですが,どうやらこれは父親譲りであるらしいことがわかります。
 自分はこの世に産まれることを望まれて産まれてきたのか,それとも望まれずに産まれてきたのか。
 大学時代につきあっていた彼女が不注意から妊娠してしまい,草一郎は考えたすえ「結婚しよう。産んでくれ」と頼みます。ところが彼女は産む気などさらさらない。さらに彼女の両親がどかどか押し寄せてきて,出産も結婚も絶対許さないとまくしたてます。たまたまその場に居合わせた隣家の耕平少年が「あんた達はみんな人殺しだ」と叫んだことで流れが変わり,出産することになるという、なかなかに劇的なドラマがあり,ぐいぐい読めます。草太という名前も,耕平少年がつけるのですが,父親の草一郎から「草」を,太陽から「太」を一文字ずつとってつけたというあたり,設定としてなかなかよくできています。なにしろ最終章で草太君は,まさに太陽の役割を果たすのですから。
 最終章は途中から全員総出演で,まさに惑星直列一直線的な終わり方をします。
 前作もそうでしたが,児童文学なのか青春文学なのか,ジャンル的にちょっと微妙なラインの上にいる作品です。扱っている題材は家族,友情,青春というたいへんオーソドックスな王道路線なんですが,なにしろいきなり主人公の家に隕石が落下してきたという設定なもんですから,ひょっとしてSFですか? と思ったりしながら読むのですが,そんなことは全然なく,単に隕石が落ちたことがきっかけとなり,主人公の回りの人たちがぐるぐると動き出すという,なんだか主人公が太陽で,他の登場人物は惑星みたいな描き方です。おもしろいです。

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