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2008/10/13

DVD「ミスト」感想

 スティーブン・キング原作のアメリカ映画です。

 スプラッター&クリーチャー恐怖系の映画なんですが、設定は日本の有名なテレビゲームによく似ています。軍が極秘裏に開発した生物兵器が事故で町中にうようよ・・・逃げ場を失った人々はどうやってこの危機を乗り越えるのか・・・みたいな。

 ところが本作の真の恐怖は、実は人を襲う生物兵器ではありません。周囲の霧(ミスト)の中には生物兵器がうようよ。霧の入ってこないスーパーマーケットの中は安全らしい。でもその閉鎖空間に閉じこめられた客たちの精神状態が、徐々に崩壊していく様子が、実に恐ろしい。

「人は生まれつき善人なのよ」

「いや、それは違う。人は二人以上いると殺し合いを始める。だから法律と政治が必要なんだ」

「人は皆、現実に耐えられなくなると、何かにすがりたくなるものだ。そう、つまりあそこで、神のお告げを語っている女の言うことを聞くようになるだろう。そして、あの女は神の怒りを鎮めるため、必ず生け贄を神に捧げろと言い出すはずだ。」 

 極限状態に追い込まれたとき、人はどんな本性を現すのか? おそろしいセリフのオンパレードです。

 ラストはあまりにも理不尽な、「監督そこまでしますか」と叫びたくなるような、あざとい終わり方をします。脱出前の子どものセリフが伏線となっているので、見ていてある程度は予測できると思いますが、それにしても「ひどい!納得できない!」と言う人も多いでしょう。でももし、これと似たような事態が現実に起きたとしたら(本作のような生物兵器の登場はまあ、ありえないとしても、地震や台風のせいでライフラインが切断され、おまけに町中疫病が・・・くらいはありそうです)。

 確かに本作で主人公は間違った選択をした。でもその時、自分だったらどうなんだろう? 本作は途中で何度も観客に選択を迫るシーンがあります。あなたならベストの選択ができますかとでも言うように。自分だったら・・・、子どもを救いに家に戻る夫人を見殺しにした? 銃を取りに行く男を引き止めなかった? 薬局に薬を取りにいった? あの女を撃ち殺してくれてありがとうと言った? ああ、なんだかもっとひどい選択をしそうな気がしてなりません。

 そう思うと、本作のラストに対する批判は、それはあくまで結果論。たまたま結果がそうなってしまったとしか、言えないのではないでしょうか?

 小野不由美の「屍鬼」もこれに近いテイスト(作品のテーマが、怖いのは実は人の方というあたり)だったのを思い出しました。

 あ~怖かった・・・。

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