« 映画「天然コケッコー」感想 | トップページ | S・オッペンハイマー「人類の足跡10万年全史」感想 »

2007/12/16

菅浩江「プリズムの瞳」感想

 SF小説です。しかもロボット。それなのに、装丁がドピンクで、いかにも少女趣味っぽいもので、持ち歩くのはかなり恥ずかしいです。

 まあでも、このピンクの装丁は、内容と深く関わりがあるのでいたしかたないところでしょう。人型ロボット「ピイ」の開発に関わる与謝野博士を絵で表現すると、たぶんこうなるのかな。

 ロボットもののSF小説は大好きですが、本作に出てくる「ピイ」は、よくあるロボット小説のロボットのように、人の心が読めたりはしません。自立した感情を持ったりもしません。制作者の命令に忠実にしたがう人型のロボットにすぎない。しかもその命令とは、ただ絵を描く。それだけ。

 それなのに、周囲の人間が、勝手に「ピイ」に様々なエゴをぶつけていきます。ただその外見が、人型であるからという理由で。

 このあたり、実に絶妙な設定です。心を持ったロボットが人との交流に悩む作品はいままでにたくさんありましたが、心を持たないロボットに、人が勝手に関わっていくという設定は初めてではないでしょうか? そして、ラストで制作者、与謝野博士の意図が明かされます。「ピイ」シリーズの存在意義は何なのか。

 心が温かくなるエンディングです。 

|

« 映画「天然コケッコー」感想 | トップページ | S・オッペンハイマー「人類の足跡10万年全史」感想 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/49249/17384103

この記事へのトラックバック一覧です: 菅浩江「プリズムの瞳」感想:

« 映画「天然コケッコー」感想 | トップページ | S・オッペンハイマー「人類の足跡10万年全史」感想 »