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2006/07/09

渡辺球「俺たちの宝島」感想

 大量消費文明に対する批判はたくさん読んできましたが、こういうエンターテイメント小説で、しかも少年たちが主人公の小説で、というのは珍しいのではないでしょうか。

 舞台は東京お台場の先にあるゴミ投棄場。そこに住むのは様々な事情で日本本土を逃れてきた者たちと、その子どもたち。彼らはゴミの山の中からレアなおもちゃなどを発掘しては、時々本土からやってくる買付人が持ってくる生活用品と交換するという生活を送っています。

 第一話は、働ける者が病気の者の分も働き、十分な生活物資が手に入ればそれ以上はもう働かないとう、原始的共同生活体ともいうべき暮らしを営む少年たちが主人公です。やがて彼らは、階級制度を使ってより大きなプロジェクトを整然と効率的に行う大人と出会います。そして、強権をふるい搾取する側と、される側の悲哀をその目で見るのです。組織の長所と短所をしっかりと見極め、その上で自分たちの進むべき道を選ぶ少年たちが実にかっこいいお話です。

 第二話は、レア物を発掘する少年たちに貨幣の概念を教え込み、高価で魅力的な消費財をちらつかせることで、彼らを猛然と超レア物発掘に追い立てる古物商のえげつないお話です。このあたりは、日本企業が若者相手にケータイやクルマなど次々に新商品を発売し、CMで購買欲を煽って大儲けするのと同じ構造です。古物商はそれだけでは飽きたらず、対立するグループとの敵対心を煽って武器まで買わせるなど金儲けのためにどんどんやり口がエスカレートします。でもこれって、アメリカ合衆国が発展途上国の戦争を巧みにコントロールし、武器を売りつけて世界一儲けているのとほとんど変わらない構造です(笑)。

 第三話は、ゴミ投棄場から東京のど真ん中にやってきた二人の少年が、賭け事に目のない大人たち相手に一儲けするという話です。クールな目で日本の消費社会の矛盾、特に勝ち組と負け組の構造が生まれる原因をしっかりと見、まともな世界とはどんなものか考え直す少年の力強さがよいです。

 続編を期待!!!

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